着物の虫食いは予防が大切!食べられた場合の対処は?

公開日:2023/10/15 最終更新日:2023/06/13
バツ

久しぶりに着物を取り出してみたら、ぽっかりと開いた虫食いの穴。お気に入りの着物だけに大ショックです。大切なシルクの着物を食い荒らす害虫は撃退したくとも、目の前に現れてくれません。虫食いを予防する方法はあるのでしょうか?今回は着物の虫食いについて、予防法や対処法について解説します。

着物の虫食いはなぜ起こる?

着物、衣類の虫食いは、繊維をエサとする害虫が存在するため起こります。害虫に食べられてしまった着物には5mm程度の丸穴が開き、そのままでは着られません。かぎ裂きのような虫食い穴もあります。

着物好きの天敵ともいえる害虫ですが、その代表選手としてあげられるのが、カツオブシムシです。ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシなどの種類がいます。次にコイガ、イガなどのイガ類です。

洗濯物を外へ干した際、成虫が衣類に卵を産み付け、そのまま室内へ、タンスへとしまい込まれます。タンスの中で卵は幼虫となり、大切な着物を食い荒してしまうのです。ウール(羊毛)は害虫の好物で、特に注意が必要です。

正絹(絹100%)、木綿、麻を素材とする着物にも虫はつきます。ポリエステルやレーヨンなどの化学繊維は、虫食いの被害とは無関係です。浴衣は木綿、麻を素材とするものが多く、一年に一度しかタンスから出す機会がありません。布地も単衣なので、虫食いの被害に遭いやすいでしょう。

虫食い予防をするには?

虫食いの被害は、食われる前に予防!が大原則です。基本的に着物は着用後、すぐにタンスに収納せず、ハンガーにかけて1日は干しておきます。これは着物の湿気を抜き、着用時のしわを伸ばすための処置ですが、虫食い予防にも大きな効果があるので、必ず実行してください。

害虫は湿気があり、着物の汚れが残った環境を好みます。着物の汚れとは汗じみ、汗の汚れ、食べこぼしや飲み物のシミなどです。収納前のタンスに害虫の痕跡がないか、汚れがないかをチェックしてから、着物を畳んでしまいましょう。

タンスには防虫剤を入れ、定期的に取り替えます。樟脳、ナフタリンは昔ながらの着物防虫剤ですが、薬物としての健康被害も報告されているので、おすすめできません。ピレスロイド系、パラジクロルベンゼンなど、新しい防虫剤を使用してください。

虫食い予防には防虫剤と同様に、防湿剤が重要となります。防湿剤を入れて、たんす内の湿気を減らしてください。着物は年に1回から2回の、虫干しが必須です。たんすにしまい込んだ着物を取り出して、虫干ししましょう。

衣類の虫やカビを予防する意味で、虫干しといいます。この機会に着物が虫に食われていないか、シミや汚れはないか、しわができていないかをチェックしてください。着物を包むたとう紙や防虫剤、防湿剤を交換するタイミングでもあります。

着物を収納するタンスは桐製が最適ですが、桐ダンスの防虫効果をご存知でしょうか?桐ダンスは高温多湿が特徴の日本の国土にあっても、中の湿度を一定に保てます。湿度が上がらないので、害虫の棲家に適さないのです。また桐に含まれるタンニンには、防虫作用があります。

虫食い部分を見つけたときの対処法は?

着物に虫食い穴を見つけたら、まず全ての着物をタンスから取り出しましょう。虫食い被害にあった引き出しの他も、くまなく点検します。襦袢から腰ひも、伊達締めなどの着付け小物、小引き出しに入れた帯じめ、帯あげなども引き出しから取り出して、確認してください。

クローゼットなど吊り下げ保管の場合、洋服にも虫害が広がっている可能性があります。ニットのセーターや毛皮のファーなど、早急に調べましょう。たんすの中身を全部取り出したら、害虫駆除と清掃です。引き出し内に殺虫剤を噴霧して、害虫を駆除します。

たんすの中に卵が残っているかもしれません。掃除機で隅々まで吸い取り、拭き掃除します。使用した雑巾は熱湯に浸けましょう。拭き掃除後のタンスは湿気が残っているので、開け放ったまま放置し、十分乾燥させてください。

次は着物の洗濯と補修です。麻や木綿は虫害に遭いやすい着物ですが、自宅で洗濯できます。中性洗剤を使っておしゃれ着洗いしましょう。洗濯後は陰干しにして、いつもよりも長めのアイロンをかけます。正絹の着物は自宅では洗えません。

着物のクリーニング店に持ち込み、虫害にあったことを相談してください。補修を請け負ってくれるお店であれば、同時にかけつぎ、かけはぎなどを依頼できます。その際、着物の端切れがあれば、補修に利用できるでしょう。

着物が大量にあると、自宅での完全駆除はとても難しい作業になります。スペースの問題もあるので、専門店の技術にお任せしてください。

まとめ

着物の虫食いは、カツオブシムシ、イガムシなどの幼虫によるものです。虫食いを予防するには、着用後の着物を1日程度陰干しにして、湿気を抜きます。防虫剤と防湿剤を併用しましょう。年に1、2回はタンスから着物を取り出し、虫干しします。

虫食い部分を見つけたら、タンス内を洗浄、掃除機をかけ、拭き掃除してください。着物は小物類も含め、全て洗濯します。大量の着物を洗濯して、害虫を完全に駆除するには、専門店にお任せするとよいでしょう。

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