着物がシミだらけになった場合の対処法!自宅で対応可能?

公開日:2023/04/13

予期せぬアクシデントで大切な着物を汚してしまったら慌ててしまいますよね。シミは早期の除去で被害を小さくできます。しかし、急いで叩いたり、お湯で洗い流したりといった対策が逆効果になることもあるので要注意です。今回は、大切な着物がシミだらけになった場合の適切な対処方法や、自宅での対応方法について紹介します。

なぜ着物にシミができる?シミの原因を探ろう

衣服につくシミには、いくつかの種類があります。ジュースやコーヒー、果汁、醤油やソースなどが原因の水溶性のシミ、チョコレートやボールペン、化粧品などによる油性のシミ、泥や墨汁などが原因の水にも油にも溶けない不溶性のシミなどが代表的です。水溶性・油性・不溶性のシミは、汚れがついたことを自覚しやすいため、早期に適切な方法で処置することで落とせます。

一方、タンスやクローゼットに保管していた着物に発生するシミは何が原因なのでしょう。収納前はシミなどなかったのに、いつのまにかシミだらけになってしまっていたという現象は、汗や湿気・カビに起因します。

現代の日本家屋は気密性が高く、湿気がこもりやすいという特徴があります。高気密でもカビが発生しにくいシステムを取り入れた家屋であれば湿気が滞ることを回避できますが、換気が不充分であれば、カビにとって過ごしやすい快適な環境になってしまいます。

カビは湿度60%以上・温度0~20℃で発生しやすくなり、湿度80%以上・温度が20~30℃で活発に繁殖を行う性質があります。高温多湿な夏だけではなく、暖房と加湿器を稼働させる冬場でもこの条件にあてはまるので注意が必要です。

ホコリや汚れを栄養にするカビは、目には見えなくても着物に皮脂汚れが付着していると、その部分を中心として広がり、シミに発展します。

保管前にクリーニングせず、虫干しをせずに長期保管している着物は、カビにとって理想的な「すみか」でもあるのです。着物を長期間保管する際には、クリーニングで汚れを落とし、汗抜きや防虫・抗菌加工などの処理を施しておくとよいでしょう。

保管場所としては直射日光が当たらない涼しい場所を選び、衣装ケースに格納することで着物に直接手が触れないようにします。除湿剤や防虫剤を利用することも、シミの予防に効果的です。

皮脂汚れは収納の際にも起こりえるので、保管の際には必ず手洗いすることを心掛けましょう。また年に数回虫干しすることで、着物の湿気を除去し、シミの発生を防げます。

お湯はNG!シミ抜きは自宅でできる?

着物についたシミは自宅で落とせるものと落とせないものがあります。食べ物や化粧品、泥などがついてしまった場合には、なるべく早急に対処することで染み抜きが可能です。

水溶性のシミであればシミのついた箇所を流水で洗い流し、ティッシュや乾いた布でつまむようにして取り除きます。油性のシミはクレンジングオイルなど同類の油を綿棒にしみこませ、シミのついた部分を裏側からポンポンと叩くことで落とせます。

泥汚れがついた場合は、汚れの部分を広げないように注意し、よく乾燥させた後で、ブラシを使ってかきだします。この時つかうブラシは、着物の生地を傷めないよう、やわらかく細かい毛質を使うようにします。

自宅でシミ抜きする際には、基本的に水を使います。汚れの種類によっては、お湯を使うと固まってしまい、余計にシミがついてしまうためです。具体的には血液や牛乳、卵など、動物性タンパク質の汚れが該当します。動物性たんぱく質の汚れは、必ず水を使用し、水溶性のシミ抜き方法で対応しましょう。

一方、自宅で落とせない汚れにはカビや汗が変色したことによるシミが該当します。カビによる表面的な汚れは叩くことで落とせますが、カビの根っこは家庭で除去できません。時間が経過すればまたカビ菌が繁殖し、新たなシミが生まれてしまいます。

また、汗が変色した黄色いシミは、汗に含まれるミネラルやタンパク質などの成分が布の繊維に染み込んだ状態で酸化したものです。時間の経過とともに色が濃くなる特徴をもち、漂白することでしかシミ抜きできません。

デリケートな着物の生地を傷めないように、ピンポイントで漂白するためには専門的な技術が必要です。シミ抜きするつもりが、大切な着物を台無しにしてしまう危険性も高いため、自宅でのシミ抜きはおすすめできません。

シミ抜きはプロに頼むべき?交換になるケースも解説!

シミ抜きは汚れの原因が何かを把握することが大切です。シミの原因によって除去方法が異なるからです。

間違った方法でシミ抜きすると、状態悪化を招くこともあります。良かれと思って擦り洗いすると、生地が傷んでしまうこともあるので、自己流の処理は控えた方が無難です。

汚れの程度がひどい場合や、シミの原因が特定できない時、カビや黄色ジミが発生した時などはプロに頼むことをおすすめします。

着物の裏地や胴裏についたカビ・黄色ジミは、布地がデリケートなため、漂白に耐えられないこともあります。こんなケースでは仕立て直しや裏地交換(胴裏交換)が必要です。

仕立て直しは着物を一から作り直すためコストが高くなりがちですが、着物のサイズを調整したいときにはおすすめです。仕立て直す必要がない場合には、裏地(胴裏)のみを新しいものに交換すれば、コストを抑えてきれいな状態にすることが可能です。

まとめ

着物がシミだらけになった場合の対処方法を紹介しました。着物のシミには水溶性・油性・不溶性などの種類があります。汚れの原因によってシミを落とす方法も異なるので、まずはシミの原因が何かを見極め、適した方法で処理することが大切です。

汚れによってはお湯により余計にシミがつくこともあるため、基本的には水を使うようにしましょう。着物を長期間にタンスにしまったままの状態で発生したシミは、湿気やカビなどが原因です。カビや汗による変色ジミは自宅で落とせないため、プロのクリーニングに依頼することをおすすめします。

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