着物にカビが付いた場合の対処法!自宅で対応可能?

公開日:2023/12/15 最終更新日:2023/07/14

着物の保管には繊細な注意が必要です。しかし、いくら大切に扱ったとしても、気づかないうちにトラブルを引き起こしている場合もあります。なかでも、カビ問題は最たるものでしょう。今回の記事では、お気に入りの着物にカビが付着した際の対処法について解説します。ぜひ内容をチェックしてみてください。

着物にカビの発生!自宅で対処は可能?

ひさしぶりにタンスを開けてみたら、漂うカビ臭さにショックを受けた。そんな体験をもっている方もいるかもしれません。着物を収納するうえでいちばん厄介なのは、カビの発生です。大切な着物であればなおさらに、しっかりと対策しなければなりません。

もちろん、専門業者に任せれば解決する問題ですが、前もって応急処置の仕方を知っておくと、何かと便利です。カビ臭さの原因となるカビ菌は、湿度80%以上、気温約20~35度の条件で繁殖しやすい性質をもっています。

ご存じの通り、日本は高温多湿。梅雨になればさらに湿度がアップし、カビが好む気象状況がもともとそろっているといえます。カビは、発生から時間の経過によって、色を変化させていくのが大きな特徴です。進行レベルが高くなるほど、取り除くのが難しくなります。最初の段階は白カビで、生地の表面に斑点状となって表れます。

目安は、たとう紙が黄色くなっているかどうかです。白カビを数年もの間、放置しておくと、今度は黄カビに変わります。根を深く張っているため、早急なクリーニングが欠かせません。さらに月日が経ち、たとえば、10年以上になると、カビは茶色や黒へと変色します。この状態を迎えたら、たとえクリーニングしても修復は不可能です。思い出あふれる着物が悲しい結末を迎える前に、早急に対応しましょう。

大切な着物にカビが付いた場合の自宅対応法、正しい対処方法とリスクについて解説

では、カビが付いたときの対処法を確認しておきます。

まず、何となくカビ臭さを感じる状態であれば、風を当てることが効果的です。湿気を好むカビ菌は、逆にいえば、乾燥させると、繁殖が抑えられるうえに匂いも軽減できます。方法は、陰干しと冷風ドライヤーの2通りです。前者は、直射日光を避け、風通しのよいところに干すことで、程度の差はありますが、1か月程度すれば、気にならないレベルまで匂いが落ちます。

一方、後者は湿度が極端に高くなる梅雨に大活躍。換気のよい室内で着物をハンガーに吊るし、冷風にセットして、30センチ程度離れたところからドライヤーで風を当てます。コツは、ドライヤーを上から下に向けてゆっくり動かすことです。その際には、着物の裏側までしっかり風を当てるようにしましょう。

タンスを開けた瞬間にカビ臭さが迫ってくるケースでは、消臭、抗菌が期待できる茶葉を活用してください。作業自体はシンプルです。フライパンで茶葉を炒り、熱を冷ましてから、和紙やお茶パックで3~4個ぐらいに小分けして包みます。それらを畳んだ着物の上や内側に置くだけです。2~3日そのままにすれば、ある程度、匂いは和らぎます。白カビが発生した場合は、屋外で着物を干したうえで、ガーゼなどの布で撫でるようにして落としてください。

さらに、陰干し、茶葉で対策を加えると、カビ臭さがいっそう軽くなります。消臭スプレーでイヤな匂いをお手軽に飛ばしたいところですが、ポリエステルなどの化学繊維製の着物であっても、色褪せや変色の原因にもつながる怖れがあるため、避けたほうが無難です。

着物にカビが発生したらクリーニングに出すのがおすすめ

前項では、着物がカビ臭かったときの対策を紹介しました。しかし、あくまで応急処置的なものですから、しっかりとカビ臭さを取り除くには、専門のクリーニング業者に出すのがいちばんです。

匂いを感じた時点で、カビ菌は繊維の奥まで入り込んでおり、応急処置で一時的に改善されても、条件さえそろえば再度繁殖します。繁殖レベルが高まると、カビによるシミなどにもつながり、お気に入りの着物が台無しです。

以下に挙げるカビレベルをクリーニングに出すかどうかの基準にしてみてください。青カビや黒カビ、はっきりとわかるほどの黄変、着物の生地や柄の変色など。ちなみに、クリーニングに出しても、カビは着物丸洗いによってはきれいに洗い落とせません。職人の手作業によるカビ取り、シミ抜きのプロセスが必要になります。

もし着物にカビが発生して困ったら、上記の2つのメニューを用意する専門業者を選ぶようにしましょう。さらに、カビの程度が広範囲に渡ったり、色抜けを引き起こしたりする場合は、染色補正の作業が必須になることも、あわせて頭に入れておいてください。

まとめ

愛着の深い着物であれば、いつまでも長く着続けたいものです。そのためには、最適なアフターフォローが欠かせません。今回の記事では、保管時の大敵、カビの発生について、対処法を含め紹介してきました。カビは湿気を好み、程度が進むと、白から黄、茶、黒へと変色します。最悪の事態に陥る前に応急処置的な対策が重要です。陰干しや冷風ドライヤー、茶葉の活用、ガーゼなどの拭き取りが効果的な手段。そして、使いものにならなくってしまうリスクを避ける意味でも、専門業者へクリーニングに出すのが賢明な判断といえるでしょう。

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