振袖はレンタルすることが多いですが、購入して保管する人もいます。冠婚葬祭に使えるのですが、汗抜きというケアが必要です。丸洗いだけでは不充分で、汗は染み付いたままでした。汗抜きをしないとどのようになるのか、汗抜きと丸洗いの違いなど知っておきたい振袖のケアについてお伝えします。
汗抜きとは？丸洗いとの違いも解説
汗抜きとは、着物に染み付いた汗を落とすこと。少量の水や蒸気を使って汗を落とします。よく比べられる丸洗いは、ドライクリーニングのことを指しています。汗抜きと丸洗いではほかにどのような違いがあるのかを確認していきましょう。
汗抜きとは
汗抜きとは、着物に染み付いた汗を落とすことです。汗は、襟・脇・膝の裏・帯の周囲などに染み付いています。密着している場所や、汗をかきやすい場所には汗抜きが必要です。
汗には、サラサラした汗とベタベタした汗があります。油分を多く含んでいるのはもちろんベタベタした汗。汗じみは水分を多く含んでいる汗です。においや変色の原因となるので、早めに取り除いておくのが必須。振袖をきれいに保つためには必須の作業といえます。
丸洗いとは
汗抜きと比較される丸洗い。丸洗いとは、着物のドライクリーニングのことを言います。水を使わず、石油系の洗剤を使ってクリーニングを行う方法です。
丸洗いと聞くと、水と石けんを使って洗う方法を思い浮かべますが、着物の場合は違います。着物は水を使って洗うと、繊維が傷むことや色落ちの原因となる場合があります。そのため、着物の丸洗いでは、水を使った洗浄ではなくドライクリーニングを行っているのです。
汗抜きと丸洗いの違い
汗抜きと丸洗いの違いをおさらいしましょう。まず、範囲の違いです。汗抜きは汗が染みている部分に限局していますが、丸洗いは着物まるごとです。
汚れを落とすには、水や高圧の水蒸気を使う汗抜きに比べて、丸洗いは石油系の洗剤を使います。それぞれ違うケアの方法であり、メニューも異なります。丸洗いで汗汚れまで落とせていると思ってしまうケースも少なくありませんが、汗抜きは丸洗いにオプションで追加することが必要です。
汗抜きをしないとどうなるのか
汗染みをしない場合は、着物の黄ばみやシミができてしまうことがあります。一度着ただけなのに、しばらく経つと変色している可能性もゼロではありません。帯や長襦袢など身に付けるアイテムはすべて汗抜きをしておくことをおすすめします。
黄ばみやシミの原因になる
汗抜きを怠ると、黄ばみやシミの原因になることがあります。汗は季節にかかわらずかくものです。緊張や辛いものを食べたときにもかく汗。着物は普段着よりも厚着をしている感覚です。
かしこまった場面で着ることも多いため、汗をかきやすいシチュエーションにも遭遇するでしょう。汗もほんのわずかしかかいていないという油断は禁物です。黄ばみやしみになる前に汗抜きをしておきましょう。
染み抜きが高額になることも
汗抜きをせず放置し汗染みを作ってしまうと、染み抜きが必要です。また、前回着てから今回着るまでに期間が開いているときは、頑固なシミになっているかもしれません。染み抜きは1つの場所あたり1,000円から2,000円ほどでできますが、場所が多い場合や広範囲にシミができている場合は金額も大きくなります。
汗抜きは丸洗いに2,000円から4,000円で追加できます。シミが広範囲になるよりも安いです。結果的に安く着物のケアができるので、汗抜きはやっておきましょう。
帯や長襦袢も汗抜きが必要
帯や長襦袢も汗抜きが必要です。汗が染み付くのは着物だけではありません。その下に着る長襦袢やウエストからお腹周りを締めている帯にも汗はついています。これらもそのまま放って置くと黄ばみの原因になります。
毎回長襦袢だけは買い替えているなんてことはないでしょうか。洗って汗抜きもして、正しく保管すれば、どのアイテムも長く着られます。
クリーニング店で汗抜きをする適切なタイミング
クリーニング店で汗抜きをする適切なタイミングは、保管前、一度着た後、シーズンごとです。最低でもこの3つの時期はクリーニングに出しましょう。頻繁に着用する場合でも、着た後は汗抜きをしておくことをおすすめします。
保管する前は絶対
汗抜きは、保管する前にかならず行います。着物は一度保管すると、しばらく着ないことが多いです。冠婚葬祭のみの出番かもしれません。となると、次いつ着る機会が巡ってくるのか、わからないことがほとんどでしょう。長期間の保管になるので、汗抜きは丸洗いとセットで行うのがおすすめです。
一度着ただけでも汗抜きは必要
一度着ただけでも汗抜きは必要です。夏のように暑い季節でなくても、わたしたちは少なからず汗をかいています。わずかでも汗が染みていると、その後に汗染みとなってしまう可能性があるので、汗抜きは必須です。
頻繁に着るならワンシーズンごと
汗抜きは必須とはいえ、毎日のように着物を着る機会がある人にとっては毎回汗抜きをするのは負担です。自宅でも簡易的に汗抜きを行う方法があるため、普段は自宅でのケア、シーズンごとに専門的な技術を持つ職人にお願いするというスパンをとるとよいでしょう。もちろん、長期保管となる場合は保管前に汗抜きが必要です。
まとめ
振袖は丸洗いだけではきれいになりません。保存前には汗抜きが必要です。汗抜きとは、水や水蒸気を使って汗の成分を布から抜くという方法。丸洗いはドライクリーニングと同じなので、水を使って洗うことはありません。別の洗浄方法となるので、丸洗いだけではきれいにならないというわけです。
自宅でもできる方法はありますが、職人に任せるのがベスト。振袖なら着終えた後、頻繁に着る機会があれば保管前やシーズンごとに汗抜きをしましょう。汗抜きをしておくことで、着物の黄ばみやシミを防げます。
